Zektbach叙事詩 まとめ

第3章

テーマ:希望と絶望から生まれるそれぞれの正義


第3章 第1節 第1話『女王マタン』

メリウス歴737年

約700年前にメリウス=ユシスによって建国されたノイグラード王国。
その基礎には、種族戦争で生き残ったヒュミナ種のアリアテス=ユシスの教義が深く根付いている。
一連の教義はトリスアギオニドといわれ、国の文化・教育、政治に深く関与している。
教義の中心には滅亡の危機に瀕した種族を奇跡の力で立て直した神器トリスアギオンがあり、
国の先導者である国王も、代々トリスアギオンの赤き光に導かれし者がその座についていた。

しかし、国が大きくなるにつれて神聖なる教義も徐々に権力への欲望により利用されはじめ
トリスアギオニドは国の実権を握る大きな手段として、その周りには常に策謀権術が渦巻くようになった。
そのような中、暗躍をしたのが諮問機関であるアギオナである。
今やノイグラードの政治はアギオナによって掌握され、王国とは名ばかりの傀儡政治となっていた。
先代の王ラインラントもアギオナにより操られ、アゼルガットとの戦争を引き起こすに至り
敵国将軍シャムシールの活躍でノヴァリスタが陥落の危機の際には、王は停戦の為に戦犯として始末されるという結末に至った。
ラインラント亡き後、アギオナは幼い子をトリスアギオンに導かれし者とし突然国家女王制を制定した。
今まで城内で行われてた神聖で密やかなる国王決定の儀式は、国民公開制となり
大げさな儀式とプロパガンダが強調された戴冠式が、多くの国民を集めたノヴァリスタの城前広場で行われた。
幼き子――マタンはそこで多くの国民の祝福を受け王国建国以来初の女王となったのだ。

女王誕生で国内が沸く一方で、古くからの王国伝統を重んじる騎士の中には
このようなアギオナのやり口に嫌気が差し城を離れる者も少なからずいた。
国王近衛騎士隊ノイ・ド・ラグニア筆頭であったアドフークもその内の一人であった。
アドフークは突然制定された国家女王制により、本来次期王候補であったのにも関わらず
トリスアギオニドに反するとされ、捨てられた幼き子を連れ身分を捨て城を出た。

こうして戴冠式から十数年が経った――。

幼かった女王マタンはすっかり成長し、清廉で美しい姿になっていた。
その瞳はやさしく澄んでいて、語りかけられた誰もが希望を持てる不思議な力を秘めていた。
彼女は女王の身でありながら城内にこもらず、城下町に出て国民と気さくに話す毎日であった。
しかし、その行動は常にアギオナにより厳しく監視されていた。
そんな中、マタンは物心ついた時から1つの事を気にするようになった。

『私には弟がいる――。きっと私にとって唯一の肉親であり、とても大事な存在なんだわ。
…私の大事な弟よ…どこにいるの…?』

弟の存在。
それは誰から教えられたわけでもなく、マタンは本能的に察知していた。
マタンは非常に恵まれた環境で育っていたが、自分の中で常に何かが欠けている気分がしていた。
それが、きっと生き別れになった弟なのだ…。
マタンの中で弟の存在はどんどん大きくなっていった。

14歳になった時、マタンは自分が最も信頼する男、ノイ・ド・ラグニア隊長ファロ・クレーデレ・エタンセルに自分の中にある弟の存在の大きさ、
そして今もどこかにいるであろう弟に会いたいという事を打ち明けてみた。
ファロは非常に実直な男で、城内で唯一心からマタンに忠誠を誓っている騎士だ。
マタンの言葉を聞いたファロは、それを真実と受け止め誰にもその事を漏らす事は無く
女王の弟を秘密裏に探す事を決心した。

ファロは身分を隠し、一介の平民になりすまし捜索活動を始めた。
そして数々の情報を得た後、遂に彼は女王と瓜二つの顔を持つ者と出会う事になった――。

引用元:Story(Novarista) - The Epic of Zektbach


第3章 第1節 第2話『マングローブの名もなき村で』

メリウス歴737年

女王の弟を探すファロは、ファルーンの情報屋からパナン森林でマタンと瓜二つの者が村を束ねているという情報を得た。
そして、遂に森林の中に地図に記されていない一つの小さな村を見つけた――

マングローブを切り開いて作っただけの簡易的な住居が並ぶ光景は、村というよりはむしろ巨大な貧しいキャンプであった。
煌びやかな王都ノヴァリスタとは違い、人々は薄汚れた衣服を纏い、野外で身を寄せ合いながら粗末な食事を食べていた。
そこには亡国アゼルガットの民であるナセムの姿が多く見受けられたが、ノイグラード人も少なからずいた。
ファロがキャンプに足を踏み入れると、皆一斉に鋭い視線を投げかけてきた。
若い者たちは次々に剣を抜き、今にも襲いかかろうとしている。
緊張感が張り詰める中、キャンプの奥から少年が近づいてきた。
『どうした?何の騒ぎだ?』
少年はこの場所では明らかに場違いな仕立ての良さそうな貴族の衣装を纏い、ファロに近づき言い放った。
『お前は何者だ?何故この場所へ来た?』
ファロは少年の顔を見て驚いた。
プラチナブロンドの髪を持ち、清廉で美しいともいえる顔つきをしているこの少年――それはまさしくマタンと瓜二つ。
(これは…なんたることだ。まさに女王陛下の生き写し…この少年が陛下の探している弟君に違いないだろう。)
『なにを戸惑っているのだ。質問に答えろ。』
少年は唖然としているファロに、まだ幼いながらも威厳のある声でにじり寄った。

『私は…王国に疑問を持ち、国から離れ旅をしている者だ。旅の途中でここへ向かうと良いと言われて推参致した。』
ファロはあらかじめ情報屋に言われた通りに受け答えた。――勿論心にもない言葉だ。
『じゃあ、我が軍に志願して来た者なのか?見た感じ剣の腕に覚えがありそうな雰囲気がするが、まさか王国軍の者では無いだろうな?』
少年は剣を鞘から抜き、剣先をファロの喉元につきつけて問い詰めた。
(どうやらここは我が王国を敵視している者が多く集まっている場所のようだな…。この少年はそれを束ねていると言うのか?)
ファロは少し考えてから、少年に核心を突いた言葉を投げかけた。
『つかぬ事を聞くが…君に兄弟はいるか?』
『なんだ?自分が命を落とすかもしれないという状況なのに変な事を言う奴だな…。
今は、ここにいる皆が兄弟であり、肉親だ。もっとも…小さい頃に僕を育ててくれた姉は王国のせいで既に命を落とした…。
僕は…それから皆に育てられたんだ。どうだ、この答えで満足したか?』
ファロはどういう経緯でこの少年がマタンから離れ、このように王国の反逆軍を束ねているのか分からなかったが、この少年が本当の姉の存在を知らず、王国に強く憎しみを強く持っていることは分かった。
(よりによって王国に強い憎しみを持っているとは…。そして憎き国の王こそが実の姉というのも知らないのか…。)
ファロはこの事実を知った女王の事を考えるといたたまれない気持ちになってきた。
『なぜそんなに悲しんでいる…?本当に変な奴だな…。』
少年は剣を鞘におさめ、ファロの顔を不思議そうに見つめてこう言った。
『まあ…害はなさそうだな。夜も更けたし見た感じ行くあてもなさそうだから…一晩泊めてやるよ。』
『いや…宿が欲しいのではない。君は……』

その時、マングローブの闇の中から一人の男が巨大な猪を背負って出てきた。
『ノクス!今日はごちそうだぞ。ほら、見てみろ!こんな大きなジャリガダッバを仕留めてやった。』
『あ、父さんおかえり!』

ファロは闇の中から突然現れたその男を知っていた――。
近衛騎士隊ノイ・ド・ラグニアでかつて剣技を叩き込まれた恩師であり、突然の失踪をしたアドフークその人ではないか。
ファロが驚いて口を開く前に、男はもの凄い勢いでファロに掴みかかり、そのまま強引に森の暗がりに連れていった。

『ここへ何をしに来た!ファロ!返答次第ではお前の命は無いぞ!』
『こっちこそ聞きたい!何故王国軍にその人ありと言われた程のあなたが、このような反乱軍の里にいるのだ!』
『…全てはノクスの為だ…。お前も女王を心服しているのであればこの気持ち分かるだろう…。』
『しかし、ノクス殿は女王陛下の弟君だぞ。陛下は行き別れになった弟君をいつも気にかけて心配している。
私は陛下のそんな慈愛に満ちた気持ちに答えるべく、弟君を連れ戻しにここへ来たのだ。』
『ファロ…悪いことは言わん。すぐにここから立ち去れ…。
利口なお前なら分かるだろう、ここの者がどれだけ王国を憎んでいる心を持っているのか。
ノクスはその中でも一番憎しみが強い。その憎しみは日々増しているのだ。幼い頃に育ての姉や友達を多く失ったからな…。
今の王国がどれだけ腐敗しているかお前には分からんのか?』
『近衛騎士たる者は、例え何があろうと最後まで主に従う。陛下あってのこの命だ。あなたも騎士であったなら分かるだろう。』
『お前にはノクスがどれだけ悲しい目にあってきたのか分かるまい…。
傀儡の女王に固執するというのがお前の正義なら、俺の正義はノクスの為に一生を捧げる事だ。例えどんな事があってもな…。』
『トリスアギオンの教義すら忘れたのか…もはやあなたは騎士にあらず。
…残念だ。私の敬愛していた大騎士アドフークは遠い昔に死んだのだな…。』

暗がりで二人が言い合っている所に、ノクスが大勢の者を引き連れてやってきた。
『どうしたんだ父さん!こいつは一体何者なんだ?』
『こいつは…王国騎士だ。どうやら国の命令でここを探りに来たようだ。
本来なら即刻斬り捨てるところだが……こいつはかつて俺が可愛がっていた古い弟子でもある。
…今日は俺に免じてこいつの命だけは助けてやってくれないか?』
王国騎士という言葉を聞いて、ノクスは一瞬にして清廉で優しげな表情を失い憎悪に満ち溢れた顔になった。
『王国騎士だと!…くっ…。父さんに免じて命だけは救ってやる…。だが次会った時は命は無いものと思え。
女王に伝えておくんだな。腐りきったお前達の国は必ずや正義によって制裁される日が来るということを…。さあ、さっさとここから出て行ってくれ!』

ファロは憎悪に満ち溢れているその顔に、何も言葉を返す事ができずその場を立ち去るしかなかった。

引用元:Story(Panan Jungle) - The Epic of Zektbach


第3章 第1節 第3話『大蛇』

メリウス歴737年

12月──。
ノイグラード王国はすっかり冬景色になっていた。
冬風に相まってチャントール森林から吹き下ろす風も一層冷たさを増し、セントリス湖は凍結した湖面から美しい銀色の光を放っていた。
王都ノヴァリスタの人々は、国で一番の祭りであるセリオス祭に向けて準備をはじめていた。
王宮内にあるトリスアギオンの間では、大神官エレオノーラが年に一度の大儀式に向けて神官達を集め慌ただしくしていた。
そんな中、女王マタンは今日も落ち着かない様子で王座に座り、執政の報告を上の空で聞いていた。
(あれから何の伝書もありません…ファロは一体どうしたのでしょう…)
ファロに弟の探索を命じてから、既に3か月が経っている。
一切連絡が来ないファロに対して、マタンはその身を案じていた。

『…という騎士団からの報告がありますが、マタン様いかがなさりましょうか?』
マタンがハッとなって大臣テオの方に向き直った。
テオはラインラントの代より仕える大臣であり、幼い頃はマタンの教育係もしていた齢70を過ぎる老人である。
優しげな顔をした老大臣は、報告書を傍らにそっと置きマタンに言った。
『マタン様、御心配なさるのは分かりますが…ファロはもうすぐ帰ってきますよ。必ず。』
『分かっています…でも、やはり心配です。最近国内を乱す人達の報告があまりに多いので…』

ノイグラード国内の治安は日に日に悪くなっている。
特にそれは南部の街において顕著に見られ、マドゥーラでは一部の低層階級の者達とジャッジとの間に暴動が発生し、遂には民審機関と教会を占拠される事態まで起きた。
国民に向けて王国騎士団が直々に派遣されるのは、ラシードによるナセム傭兵事件以来の大事態である。
先王の処刑、アゼルガット滅亡、そしてマタンの戴冠式──大戦以降の一連の流れの中で国内の事件が飛躍的に増えている。
何か歯車が狂いはじめているとでもいうのか。

『テオ。何故彼らはトリスアギオンの教えに背くのでしょうか。
トリスアギオニドは平和そのものです。平和に背くという事に何の意味があるのでしょうか…私には理解できません。』
『わかりませぬ…しかし、一連の事件の裏には何か邪悪な組織があるのではと私は考えております。』
(邪悪…)
トリスアギオンの教えの元に人々が手を取り合い平和に暮らす世が全てと考えるマタンには邪悪の持つ意味すら正確に理解できない。
何故、トリスアギオニドに背くのか。何故平和に背くのか。何度考えても分からない。
日に日に音を立てて崩れていく王国を想像すると、マタンは居ても立ってもいられなくなった。

『女王様、失礼する。』
眼光の鋭い初老の男が突然入ってきて、テオの前に立ち言い放った。
『テオ、お前の執政はどうなっているんだ。なんだこのザマは。』
この男の名はマティアス──諮問機関アギオナの一員である。
マティアスは報告書の束をテオに突き付けながら捲し立てた。
『遂にファルーンで王国高等騎士団に歯向かう者が出てきたぞ!
準聖階級にだ!この事態は一体どういう事だ!』
テオは驚かなかった。いくら手を打とうが近々そういう事態になるだろうと既に予想していたからだ。
『マティアス。問題は、事態を犬のように喚き散らす事よりも根底にある原因を迅速に見つける事ではないのかね?』
『原因だと?フン。今更何を言っている。
一連の暴動が起きたのは全てお前の政務上の失態だと考えている。これはザリエリ様をはじめアギオナ全員の総意だ。
次の四聖会議までに解決しなかったら、お前は失脚どころでは済まないぞ。第一級国罪も覚悟しておくことだな。』
マタンが口を開く前にマティアスは踵を返し足早に去って行った。

(アギオナの犬どもめが…)

今や国内の利権を多く持つアギオナの力は極めて強大であった。
大臣・近衛騎士団・アギオナ・大神官による四つの聖階級による会議も実質上アギオナの意見に支配されている。
アギオナ機関を表す大蛇の紋章──まさに大蛇が王国の中枢に巻きついているのだ。
(このままでは王国がどうなるかわからない…国王の権威は今や無きに等しい…)
考え込むテオを心配したのか、マタンが優しく声をかけた。
『大丈夫ですか、テオ?』
『これはこれはとんだ失態を見せてしまいました。
申し訳ありません、マタン様。』
テオはマタンに丁寧に頭をさげ非礼を詫びた。
『アギオナの人達もあのように見えて根は悪い人では無いと思います。皆、平和な国を想っての事でしょう。』
テオはこの人を疑わぬ澄んだ瞳を持つ、まだ幼ささえ残る女王が不憫に思えた。
アギオナの長ザリエリは巧みに女王マタンに取り入っていた。
それは天賦の才能と言ってもいいくらいの鮮やかさであり、マタンはアギオナに対して不信感を感じていないのだ。
(おそらくラインラント様も初めからザリエリに利用されたのだ…国王が再び不幸になるのは見てはおれぬ…じゃが……わしは大蛇に立ち向かうにはあまりに老いすぎてしまった…)
『マタン様…』
テオがそう言いかけたときであった。
誰よりもマタンに忠誠を誓う騎士が現れた。

『女王陛下。このファロ只今戻りました。長らくお待たせしてしまった事をお許し下さい。』

引用元:Story(Novarista) - The Epic of Zektbach


第3章 第3節『テトロア海戦』

マタンは、ゾンネ城の見張り塔に上り眼下を見下ろした。
一面に広がる美しい菫青色のテトロア海に、ひときわ異彩を放つ巨大な要塞が遠くに見える。
何故、ノクス達は無駄な破壊と戦いを繰り返すのか?
トリスアギオンの教えはノイグラード王国建国以来ずっと人々の安寧を保ってきた。
何故今になってそれを乱そうとするのだ。何故無駄に人々に苦しみや悲しみを生むのだ。
マタンは手に持っている聖剣をぎゅっと握りしめた。

ノクス…できればあなたとは戦いたくない…。
でも、私の正義は守らなくてはならない。
多くの人の希望を守り、多くの人が幸せになるために…。

ゼクトバッハ叙事詩第3章第3節『テトロア海戦』より

引用元:エピックポエトリー - pop'n music 16 PARTY♪


第3章 第5節『失われた系譜』

ノクスとマタン。見事なまでに美しい対称性を持った二つの存在があった。
一つの自己より生まれし彼らは互いは引き寄せ合い、合わさって完全なる論理を持つ超越者の系譜をたどる予定であった。
しかしそれぞれの環境によって生まれた感情の誤差が宝玉リスタチアによって大きく増幅され
完全美を保っていた論理的対称性は引き合うどころか崩壊してしまった。
調和の崩壊は心の中に恐ろしい矛盾を招きはじめた――
弱き環境で育ったノクスはルサンチマンより生まれし負の感情に支配されはじめ
次第に自己矛盾を引き起こす『似て非なる存在』のマタンを認められなくなっていった。
そして、苦悩した末ついにマタンを悪の存在とし排除することによって『完全なる正義』となる道を選んでしまう。
強き幸福な環境で育ったマタンは慈愛に満ちあふれ、全てを理解した上、ノクスを救いたい思いだけが心を支配する。
2つに分かれてしまった自己。それぞれの盲目的な正義は、本来あるべき姿とは程遠い結果を招いた。
古来から世を正してきた超越者の系譜が、こうして完全に失われたなど誰ひとり知る由もなかった

ゼクトバッハ叙事詩第3章第5節『失われた系譜』より

引用元:Blind Justice 〜Torn souls, Hurt Faiths 〜 - beatmania IIDX 14 GOLD


EPIC III "JUSTITIA"

僕はノクス。君は?

私は…ルーキス。

ルーキス、光か――いい名前だね。

あの沢山の立派な船はあなたたちのものなの?

そうだよ。あの船は僕らの夢を積んでいるんだ。君に夢はある?

私の夢…?私は皆が笑って過ごせる世界になればいいなって思うの。

僕も同じだ。だから僕は皆の幸せの為に
あの船団を率いて戦わなければならない。

戦いが多くの悲しみを生んでも?

ルーキス、これは正義の為の戦いなんだ。
悪しき存在は絶やさなければならないんだ。

正義か…(私にとっての正義とは何なんだろう?)

悲しみは今まで幾つも味わった。もう…終わりにしたいんだ…。

辛かったのね…ノクス…。

朝日が昇ってきた。そろそろ行かないと。

…ノクス。ノクスは今も辛い…?

僕には正義がある。皆を幸せにするという使命がある。
だから辛くなんてない。
それに…こうして同じ夢を持つ君にも出会えたんだ。

そう。よかった…。

また会おう、ルーキス。
その時はきっと誰もが幸せに
こうして朝日が昇るのを静かに眺めることができるように!

うん、そうだね…また会えると、いいね…。

希望と絶望には同じだけの相反する強力なエネルギーがある。
両者とも件の如く盲目的な方向性を持つものである。
私は人類に内在するその原理を解明することに成功した。
驚いた事に希望も絶望も、もともと一つのパターンであったのだ。
何故2つに分かれたのか?
それは、ここにある2つのメタデータが証明してくれるであろう。

A.D.2374年 進化論理学者 オーガスティン・バイゴット

引用元:絵本風ブックレット - Zektbach 1stアルバム 豪華版



http://music.geocities.jp/zektmatome/
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