Zektbach叙事詩 まとめ

A.D.XXXX


A.D.1906年 ルートヴィッヒ・ボルツマン

A.D.1906 ルートヴィッヒ・ボルツマン ドゥイノにて自殺

※第2章 第5節 第4話『すぎたる知と武』より


A.D.2042年 ボルツマンの記憶遺伝子解析結果

もはや、止める事はできないことが分かったのだよ。
いつかは全てが意味をなくす事になるであろう。
それでも我々は希望を持てと? ばかげてやしないか?
だから私は決別したんだよ、この虚しい世界に。

A.D.2042 D.A.L.によるボルツマンの記憶遺伝子解析結果

※第2章 第5節 第4話『すぎたる知と武』より


A.D.2355年 オーガスティン・バイゴット

英雄も悪魔も同じようなものだ。
どちらも、その他大勢の人々の中に彼らを元にした道徳を造り上げるという点では。
畏敬も憎悪も生命に強いエネルギーを揺り動かすものだ。
そのエネルギーが生んだ教訓・道徳・文化・常識…
それらは人類の心の生地にパテで均されていったクリームのようなものだ。
過去素晴らしいと賛辞された美味しいクリームは、すべてまやかしであった。
それが確実に人類を無意識のうちに疲弊の方向に向かわせていたのは明らかだ。
もう、パテはいらない。すぎたる者は必要ないのだ。
我々が永遠という存在を手に入れる為には、強者への誘導因子は封印せねばならぬ。

A.D.2355年 進化論理学者 オーガスティン・バイゴット

※EPIC I "BELLUM"より


A.D.2374年 オーガスティン・バイゴット

希望と絶望には同じだけの相反する強力なエネルギーがある。
両者とも件の如く盲目的な方向性を持つものである。
私は人類に内在するその原理を解明することに成功した。
驚いた事に希望も絶望も、もともと一つのパターンであったのだ。
何故2つに分かれたのか?
それは、ここにある2つのメタデータが証明してくれるであろう。

A.D.2374年 進化論理学者 オーガスティン・バイゴット

※EPIC III "JUSTITIA"より


A.D.2424年 ティモシー・バイゴット

かつて人類黎明期に進化の過程で、自然に構築されていった
生き残る上で重要な一つの基本的で柔軟な神経回路があった。
それは時が経ち誤認識と誤作動を起すことによって思わぬ副産物を生み出した。
副産物はやがて人類を眩惑させたまま
それ自体が命を吹き込まれたように進化していったのだ。
その効果により傀儡された多くの設計者達により
多岐に渡り樹形を描いて進化と淘汰を繰り返したそのミームは
異なる樹形に位置する者同士を『罪』という名の下に対立させ
多くの血塗られた歴史を作り上げていったのだ。

私がそれを父と共に完全に駆逐してから数十年が経つ。
今や呪縛の螺旋を持つ者は皆無であり、我々はさらなる高みへと進んだのだ。
奴は最早この小さな箱の中のデータとしてしか存在しないのだ。

A.D.2424年 進化論理学者 ティモシー・バイゴット

※EPIC IV "PECCATUM"より


A.D.2572年 ローレンツ=アウエンミュラー

一体誰がこの世界を作った、だって?
君はまだ大昔の創造論者まがいの事を私に聞くのかね。
作ったもなにも、はじめからあるんだよ。
そこに意味なんて無い。
人類が無駄に意味を求める事に長い時間を費やした結果が
どうであったか、君も分かっているだろう?
全ては塵なんだよ。数字の塵が浮かんでいるだけさ。
君が言う素晴らしく色彩に富んだ世界は
感覚データによって調節された現実世界を
『大げさに解釈した』モデルでしかないのだ。
君も僕も漂う塵が描いた『あたかもそう見える』アナグラムの1つに過ぎないのさ。
いい加減目を覚ましたまえ、人類はもう永遠の存在に近いのだよ。

A.D.2572年 ウロボロス計画発案者 ローレンツ=アウエンミュラー

※EPIC II "EVOLUTIO"より



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